「イラン攻撃」で世界は激変!高橋洋一氏が読み解く中露の思惑と日本経済への影響
2026年2月末に発生した米・イスラエルによるイランへの大規模攻撃は、中東情勢のみならず、世界の政治・経済地図を大きく揺るがしています。特に、国際原油価格の急騰と、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の緊迫化は、私たちの生活にも直結する喫緊の課題です。本記事では、YouTubeチャンネル「髙橋洋一チャンネル」の動画内容を深掘りしつつ、最新のデータと専門的な視点から、この「イラン攻撃」が中国とロシアに与える複雑な思惑、そして日本経済への深刻な影響を約5分で核心が理解できるよう解説します。
この動画の結論(3行まとめ)
* 米・イスラエルによるイラン攻撃は、原油価格の急騰とホルムズ海峡の機能不全を招き、世界経済に多大な影響を与えている。
* ロシアは原油高による財政恩恵や西側諸国のダブルスタンダード批判で「漁夫の利」を得る一方、中国は経済的打撃と戦略的パートナーシップの脆弱化に直面し「さえない」状況にある。
* 日本は原油高と円安の「トリプル安」に直面し、サプライチェーンの混乱や生産活動への影響が懸念される。
「イラン攻撃」で原油価格が急騰!ホルムズ海峡の緊迫化が世界経済を直撃
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対して大規模な攻撃を実施しました。これに対し、イランは近隣諸国の米軍基地や港湾、民間施設への報復攻撃を行い、中東情勢は一触即発の状態に陥っています。特に注目されるのが、世界のエネルギー供給に与える影響です。
この軍事衝突を受けて、国際的な原油価格は急騰。指標となる北海ブレント原油先物は一時1バレルあたり119ドルを突破し、約4年ぶりに100ドルの大台を超えました。戦争が長期化すれば、1バレル150ドルから200ドルにまで高騰するとの試算も出ています。
さらに深刻なのが、イランが世界の石油・液化天然ガス(LNG)供給の約5分の1を担う「ホルムズ海峡」の封鎖を警告している点です。イラン・イスラム革命防衛隊はホルムズ海峡を通過する船舶を攻撃するとの警告を発しており、多くの海運会社が航行を控える事態となっています。実際、2026年3月1日のホルムズ海峡の通航隻数は、2019年の統計公表以降で最低の26隻を記録しました。これは、平均的な1日あたりの通航隻数92.6隻と比較しても極めて低い水準です。
日本は原油輸入の約93.5%を中東に依存しており、ホルムズ海峡の緊迫化は日本のエネルギー安全保障に直接的な打撃を与えます。
ロシアは「漁夫の利」か?中国は「さえない」状況に
今回のイラン情勢の緊迫化は、ロシアと中国という二つの大国に異なる影響を与えています。
ロシア:「漁夫の利」を得る多層的な恩恵
ロシアにとって、今回のイラン危機は短期的には多くのプラス要素をもたらす可能性があります。第一に、原油価格の高騰は、石油・天然ガス輸出に大きく依存するロシアの国家財政を直接的に押し上げます。
第二に、米国とイスラエルのイラン攻撃を「国際法違反」と非難することで、ロシアはウクライナ侵攻を批判する欧米の「ダブルスタンダード」を浮き彫りにし、グローバル・サウス諸国の取り込みを図ることができます。
第三に、中東で大規模な軍事作戦が続けば、米国の軍事資源が必然的にそちらへ向かい、ウクライナ情勢におけるロシアへの圧力が緩和される可能性があります。ウクライナのゼレンスキー大統領も、中東で使われたパトリオットミサイルの数がウクライナが受け取った量を上回ると指摘しています。
さらに、イラン産原油の供給が途絶えれば、中国がロシア産原油への依存を深める可能性があり、中露関係のパワーバランスがロシアに有利に働くことも考えられます。
中国:「さえない」状況に直面する戦略的パートナー
一方、中国はイランと「包括的戦略パートナーシップ」を締結し、対米で連携する中東の最も緊密な友好国と位置付けています。また、米国の制裁下にあるイラン産原油を「迂回輸入」で調達するなど、エネルギー面でも深く依存してきました。
しかし、今回のイラン攻撃に対して、中国は「軍事行動の即時停止」や「イランの主権尊重」を口頭で表明するに留まり、実質的な軍事支援には踏み切っていません。これは、トランプ米大統領の訪中を控えるなど、米国を刺激したくないという思惑があると見られています。
経済面では、原油価格の高騰は不動産バブル崩壊や内需不振に苦しむ中国経済にさらなる打撃を与えています。中国の国家発展改革委員会は3月9日に国内の石油製品価格引き上げを発表しており、国民の不満が高まることも予想されます。
また、今回の紛争は、中国が構築を目指してきた「反欧米軸」の脆弱性を露呈させ、ホルムズ海峡を経由する石油輸入が途絶の危機に瀕するなど、中国にとって多重のリスクを伴う「ストレステスト」となっています。
日本経済への深刻な影響:「トリプル安」とサプライチェーンの混乱
イラン情勢の緊迫化は、遠く離れた日本経済にも深刻な影響を及ぼしています。
まず、世界の金融市場では「トリプル安」が鮮明になりました。原油高を背景としたインフレ懸念から国内金利が上昇し、高市政権下の財政悪化への懸念も重なり円が売られ、一時1ドル160円台も視野に入り始めました。これにより、株安、円安、債券安が同時に進行する事態となっています。
実体経済への影響も甚大です。海運と空輸の寸断により、日本から中東地域への輸出は事実上停止。これを受けて、トヨタ自動車は3月末までに2万台、4月に1万8000台の生産を削減する計画を発表しました。対象車種には、中東で人気の高いランドクルーザーも含まれており、完成車メーカーだけでなく、部品サプライヤーの業績にも悪影響が及ぶと見られています。
さらに、原油高はスタグフレーション(物価高と景気後退の同時進行)への懸念を広げており、日本経済は極めて難しい舵取りを迫られています。
押さえておきたい専門用語解説
* ホルムズ海峡: ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ、幅約30kmの非常に狭い海峡です。世界の石油・液化天然ガス(LNG)輸送の約5分の1がここを通過するため、「世界のエネルギーの生命線」とも呼ばれ、その安定は国際経済に極めて重要です。
* スタグフレーション: 経済学の用語で、「スタグネーション(景気停滞)」と「インフレーション(物価上昇)」を組み合わせた造語です。通常、景気が停滞すれば物価は上がりにくいものですが、原油価格の高騰など供給側の要因によって、景気後退と物価上昇が同時に進行する現象を指します。
* モザイク防衛戦略: イランが採用しているとされる分散型の防衛戦略です。首都や司令部が攻撃され、トップからの指示が途絶えても、各地の部隊が独立して判断し、戦闘を継続できるよう設計されています。これにより、強大な軍事力を持つ相手に対し、戦争を長期化・泥沼化させ、相手の戦意をそぐ狙いがあります。
まとめ:イラン情勢が突きつける世界の課題と今後の注目点
今回の米・イスラエルによるイラン攻撃は、単なる地域紛争に留まらず、世界のエネルギー市場、主要国の経済、そして国際的なパワーバランスに広範な影響を及ぼしています。ロシアが短期的には「漁夫の利」を得る一方、中国は経済的苦境と戦略的パートナーシップの限界に直面し、日本も「トリプル安」とサプライチェーンの混乱という形でその影響を色濃く受けています。
今後の注目ポイントは、イラン情勢の長期化の有無、それによる原油価格のさらなる動向、そして主要国がこの新たな地政学的リスクにどのように対応していくかです。特に、ホルムズ海峡の安定確保は、日本を含む多くの国にとって死活問題であり、国際社会の連携と外交努力がこれまで以上に求められるでしょう。私たちは、この激動する世界情勢から目を離すことなく、その推移を注視していく必要があります。
元動画はこちら:
1461回 イラン攻撃中国とロシアはガクブル – 髙橋洋一チャンネル







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